あるワケないじゃん、そんな恋。
さっきまで困るだの何だの言ってたのは何処のどいつだよ。

すっかりお家モードに変身して、こんなトコで寛ぐなっつーの!

こっちは手を出したくなりそうなのを必死で堪えてるっていうのに勘弁してくれよ!





(………しかし…)



恋愛経験ゼロも捨てたもんじゃねーな。

無防備っていうのが、こんだけそそられるって知らなかったよ。

友達としてしか付き合ってこなかったこれまでに比べたら、今の菅野は結構イケてると思うぞ。

ミニスカ履いてる…っつーのだけが、理由じゃないけどな。




「……羽田、まだ食べてんの?遅ぉ〜!」


冷めた目線向けられた。
俺が菅野に見入ってたこと、悟られてなんかねーよなぁ?


「味わってんだよ!お前と違って!」


ーー実際のところ、味なんかサッパリ分かんねぇよ。

目の前にミニスカ履いた菅野がいるってだけで、舞い上がってるんだから俺は。




「キレイだね〜〜夜景……」



窓の外に目を向けた菅野がウットリするように囁いた。

こいつにとって俺は、恋の練習相手にしか過ぎねーんだろうけど。



「………菅野……」



「ん…?」



振り返った視線に急に胸が速く鳴りだした。


静まれ!静まれ!


俺はまだ何も言ってねーし!!



「……お前さ、あの本屋で働きだしてどれ位になる?」


「えっ?何よ、急に……」


そう言いながらも思い出そうとしてる。

菅野が答える前に、俺はとっくにこいつが店で働き始めた日のことを思い出してた。




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