あるワケないじゃん、そんな恋。
あの時だってそうだよ。
俺と一緒に飲んでるのに、出会えもしない大企業の上役との恋について語りやがった。

あまりに真剣に考えてるから、てっきり片思いの相手でもいるのかと思ってたけど……。



(まさか、恋愛未経験者だとはな……)



思い出しても笑えてくる。
威張りながら「恋愛したことないから分かんなぁい!」と声を張り上げた菅野を。




「くっくっくっくっ……」



「何よ、その笑い。不気味ね〜〜……」


目の前に座ってる菅野から冷たい視線を投げられた。
入店の日付を思い出そうとしてた筈なのに、一体いつからこっちを見てたんだ。



「お前のこと考えてたんだよ。面白ぇ奴だなって」

「私の⁉︎ どこが⁉︎ 」

「その自覚のないトコが!」


キョトン…とするなよ。
余計に可愛いだろう。





「菅野………」

「何よ?」


生意気で女っ気ゼロで、子供っぽくて、酒好きで、どうしようも無い天然女だけど………



「俺……」



ドキドキするなよ。
まだ、これからだからな。



「お前のこと………」



あと一言だ。
頑張れ、羽田洋平(はだ ようへい)!



「す………」
「あーー!!見て見て!!あの光っ!!すっご〜い!何処だろう〜〜!?」




ーーーーって、だから何だよ!?

コレだから菅野は恋愛できねーんだって!!


この、万年天然女がぁぁぁぁぁぁ!!!!


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