あるワケないじゃん、そんな恋。
「こっちは大丈夫だったよ。急だったけど、羽田ちゃんの知り合いの子がバイトに入ってくれたから。もう紹介してもらった?芹那ちゃんのこと」

「はい…今しがたクマさんに」

「そっか。じゃあ僕からはもういいね。芹那ちゃん……」


「…はい」


羽田の知り合いの子は店長の方を向き、ニコニコしながら返事をした。



「君のバイトの件、続行のOK出たよ。このまま週3〜4日、ここで働いてもらっていい?」

「はいっ!いいです!お願いしますっ!」

「じゃあ決まり。分からない事は全部羽田ちゃんに聞いてね。一応新人の教育係だから」

「はい!そうしまーす!」


満面の笑みで彼女がそう答えるのを見て、胸が少しだけチクッと鳴った。

羽田の知り合いの子が同じ仕事場でバイト。

しかも奴の帽子を被るくらいの仲良し?


(…で、当の本人は……?)


キョロ…と辺りを見回しても、羽田の姿は見えない。
さては奴め、私が出勤する日に限って休みか……?



「羽田ちゃん、今、本の買い取り査定に行ってるから。それまではクマさんに仕事習って。菅野ちゃんは病み上がりだから無理せずボチボチね」


店長の言葉に芹那ちゃんという子は「はーい!」と明るく返事をした。

その様子を横目で眺め、ホッ…と大きな溜息が出る。


「んっ?どうした?菅野ちゃん」

「えっ⁉︎ いえ、別にどうも。仕事頑張りまーす!」


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