あるワケないじゃん、そんな恋。
並んだ教授本の中にも、私と一つだけ似通ってたとこがあった…。


ヒロインのコンプレックスに対する考え方。

いろんなライバルと自分を比較して落ち込むとこなんか、今の私とよく似てる。


まあ、私の場合、今に限らず以前からずっとなんだけどーーー。





「あの……菅野さん……」


可愛らしい声が聞こえて振り返った。
さっきまでレジ打ちを習ってた芹那ちゃんは、レジを離れて私の持ち場に来ていた。



「あの……ちょっと教えて頂きたいことがあって……」


モジモジしてる。
こんなトコも可愛いよねぇ…。


「私に?クマさんに聞かなくていいの?」


私はしがないパートだよ⁉︎ 仕事のことなら社員さんに聞いて欲しいんだけど。


「あの、ちょっと…仕事とは関係ないことなので……」


「……そう、何?」


私語は手短にね。
それでなくても私、長いこと休んで迷惑かけてるから。


「あの…ここにバイトへ来始めた頃、皆が言ってたんですけど………」


そこで溜める必要ってアリなの?
聞きたいことならちゃっちゃと聞けばーーー




「菅野さんって、洋ちゃんの彼女なんですか⁉︎ 」


「えっ⁉︎ 」


洋ちゃん?
誰のこと……?



「あの…ねぇ、芹那ちゃん……」


「皆が言うには、クリスマスのちょっと前から付き合い始めたってことだったんですけど……」

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