あるワケないじゃん、そんな恋。
「クリスマス………?…あっ…もしかして羽田のこと?」


名前を出した途端、芹那ちゃんの顔が真っ赤になっちゃった。
モジモジ具合は更に進んで、どうにも上げてられないみたい。


そんな彼女が口にした言葉は………



「か、菅野さんが……洋ちゃんの……は、羽田さんのは……初エッチの相手だ……って……本当ですか?」


「……エッ。…………エエーーッ!!?」




大きな声で叫んでしまった。


慌てた芹那ちゃんが立ち去った後、声を聞きつけたクマさんと店長がやって来た。



「何⁉︎ 」

「何かあった?」


2人とも呑気そうな顔して、まだあの話継続させてたの⁉︎

…って言うか、羽田!あんたいい加減撤回しなさいよっ!!



「い…いえ、何も……。ごめんなさい……ちょっと驚いただけなんです……」


あははは…と笑ってごまかし仕事を始める。
わざと忙しそうに本をいじる私に、2人は顔を見合わせて逃げていく。

芹那ちゃんは相変わらず赤い顔をしたままレジの前に立ってるし、噂を撤回しない本人は外出中。



(…あ〜もう、驚いた〜。あの子なんでわざわざそんなの聞きに来るのよぉ。そんなの私じゃなくても本人に聞けばいいことじゃない………って、もしかして、普通の女子なら出来ないのかな?そういうの………)



私ってば、初めてその騒ぎがあった時も堂々と聞いてたよね。

恋愛の経験も何も無いのに、『童貞、童貞』って連呼してた気がする。


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