あるワケないじゃん、そんな恋。
そんな怖い顔して言わなくていいじゃん。
私だって隠れバイトやってたよ〜〜。高3の冬に。



「センター試験だってあんのに、悠長にしてていいのかよ!!」


ますます激しく怒鳴る羽田の声に反応して、芹那ちゃん、とうとう目に涙がいっぱい溜まりだしてーーー。




「………っう………ぐっ……す………」



ほらぁ……泣きだしたじゃん。
怒り過ぎなんだよ。羽田は……。




(あーあ……)



ーーダメなんだよねぇ私。

こういう一方的なシーンって黙って見ておけないの。

庇うとかそんな気、まるでないんだけどーーーー




「…もういいじゃん!本人が自分の実力を一番知ってて、バイトしていいって言ってんだから。認めてやんなよ!」



しゃしゃり出ちゃう。

羽田とは、口きかないって決めたけどさ。
それとこれとは別問題だから、今だけ特別に意見させてもらおう。


「芹那ちゃんだって、試験の前日にバイト入ったりしないよね⁉︎ 気分転換になると思うからするんでしょ⁉︎ 」


真ん丸な目をウルウルさせてこっちを見てる。
その目に弱いのよねぇ〜〜私。
まるでペソを見てるみたいで。



「菅野……しゃしゃり出てくんなよっ!」

「イヤよ!出るっ!さっきから聞いてると自分がまるで親みたいな言い方してさ!何よ!芹那ちゃんにも選択の自由があるのに、バイトくらいやらせてやってもいいじゃん!!」


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