あるワケないじゃん、そんな恋。
ズズズ……とココアを飲みながら芹那ちゃんを観察した。


おデコの張りからして頭は良さそうに見える。

センター試験受けるくらいだから、本命は国公立大なんだろう。

バイトできるくらいの余裕かましてるんだから、間違いなく合格できる可能性は高いんだろうけど………。



(スゴイなぁ……私じゃまず無理だ…。そんな恐ろしいことできんわ……)



高3の冬にしたバイトも行くとこ決まってからだもん。
この子みたいに目の前に試験迫ってるのに、バイトなんか普通はやれない。



「…芹那ちゃんは、どうしてバイトしたいの?」


欲しい物でもあるのかな…って、単純にそう考えたんだけど。


かぁ〜〜〜と顔赤らめて、モジモジしたまま黙っちゃった。


この雰囲気、何だかさっきと似てる。

私が羽田の初エッチの相手かどうか聞きに来た時と同じ顔だ。



「……あのさ。さっきの質問の答えだけど………」


撤回しておかないと。
この子にまで勘違いされたら困る。



「私……羽田の初エッチの相手じゃないから………」


そもそも羽田が童貞だって言うのもウソだし、誰とヤッたかなんて聞きたくもないし知らない。


「皆が言うこと、全部間に受けなくていいからね。私と羽田、…お友達……みたいなもんだから……」



『お友達』って言う時、ちょっとだけ躊躇ってしまった。

イブデートのことが一瞬だけ頭に過ぎって、軽く迷った……。



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