あるワケないじゃん、そんな恋。
「お友達?……付き合ってるんじゃないんですか?」


カップを両手で包むように持ってる芹那ちゃんからマジマジと視線を送られた。

弱いわ、その瞳〜〜。

ペソみたい〜。



「成り行き上そんな感じになったけど……多分、もう解消すると思う。ちょっといろいろあって……私が羽田についていけそうにないから……」


詳しい話したくないから聞かないでよ。

オトナの事情だからさ、そこは。



「………そ、そうなんですか………」



安心したように囁いた。
芹那ちゃんの横顔は、何だかスゴくホッとしてるみたいでーー。


(この子………もしかしたら羽田のこと………)




コンコン!


(あっ…)


「はいっ!」


店長かもしれない。
ヤバい。ココア入れたのバレる!



カチャ…と開くドアの方を見て、サッとカップを後ろに隠した。



(あっ……)


……ドアの隙間から入ってきたのは、スキンヘッドに近い頭の羽田。



「洋ちゃんっ!」


芹那ちゃんが赤い顔したまま呼ぶ。
その彼女に一瞬だけ視線を送り、直ぐに私の方へ振り向いた。



「菅野……ちょっと話が………」

「な…何よ。さっきのことなら謝らないよ⁉︎ 」


私悪くないからね。


「違う。そうじゃなくて……」

「…だったら何⁉︎ 私、聞きたくないんだけど……もう仕事にも戻らないといけないし……」


< 78 / 209 >

この作品をシェア

pagetop