あるワケないじゃん、そんな恋。
あんたと違って、私はパート身分なの。

真面目に働かないと給料も減らされるし、首だって切られるんだよ。



「話すことがあるなら、私じゃなくて芹那ちゃんとしたら?きちんと謝んなよ。さっきの言い方、どう考えても羽田が悪いし……」


ゴクゴク…とココアを一気飲みした。

プハァ!と息吐いてカップを流しに持ってった後、羽田の顔も見ないで休憩室を出ようとしたのにーーー



「…待てっ!」


ぎゅっと掴まれる手首。

ヤダ……

またあの時と同じ感じ………。





「離してっ!!」



バッと腕を振りほどいた。
羽田の顔が驚いて、目が大きく見開いてる。


胸の奥に微かな痛みを感じる。

そんな顔させたくないと思ったけど……。


「私に構わないで。羽田といるとロクな事ないからマジでヤダ……!」


出てくるのは憎まれ口だけ。


でも、羽田のせいだよ。



……ぎゅっと唇噛んで睨んだ。

心の中には、どんどん嫌な気持ちが溢れ返ってきてる。



< 79 / 209 >

この作品をシェア

pagetop