あるワケないじゃん、そんな恋。
『バカ!羽田のアホ!二度と口きかないから……!!!』



さっきと同じようにダッシュして逃げ去った。

折角いい雰囲気になりかけてたのに、俺の笑い上戸が出たせいで……。



(けどなぁ……イブの夜に真っ赤な毛糸パンツはねーよ………)


ミニスカにドギマギしてた分、思いきり笑っちまっただろうが。

寒がりなのは知ってたけど、毛糸のパンツ履くくらいならズボンにしとけば良かったんだよ。

こっちはあいつの足が気になって前が向けなくて、非常に困ったんだから……。



「はぁ……」


「どうしたの…?」


「…あっ?いや、何でもねぇ。それより、それ飲んだら仕事するぞ。幼馴染だからって容赦しねーからな!」



「うんっ!いいよ!」


芹那のスマイルは屈託がなくていいよ。

深夜アニメ風な顔つきで、それなりに声もいい。


菅野とは大違い。
ホントに可愛い子だよ。



(……でも、俺は、やっぱりあいつの方が好みだな……)


可愛い気もねぇけど、どっか肌に馴染むとこがある。
気心が知れてるっ言うか、一緒にいるだけで面白い。


(あいつだけだよ。俺をあれだけ笑わせるのは……)




……あの夜、菅野が落としてったブーツは俺が預かってる。

一応あの後、施設内を探して回ったけど、菅野の姿は何処にもなくて片足は裸足のままでどうやって帰ったんだろう…って心配してた。



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