あるワケないじゃん、そんな恋。
「ゔゔ〜〜〜〜っ……」



唸ってるのはペソじゃないよ。私……。


「キュゥゥゥゥゥン……」


大丈夫か…って?


「ありがと、ペソ……大丈夫。ただの二日酔いだから……」


尻尾振りながら寄ってきたペソの頭を撫で撫で。


「昨夜はごめんね……エンドレスな愚痴聞かせて……」



頭痛と泣き過ぎで開けにくい目を何とか開けて謝る。

前言通り記憶ぶっ飛ぶまで(酔いつぶれるまで)飲み続けた結果がコレ。



「カッコ悪ぅぅ……」


ははは……と乾いた笑いしか出てこない。
お酒ごまかしたって、何も変わりゃしないのに。



「今日も仕事か……」


ポスン…と枕の中に項垂れた。


ガンガン…と痛む頭を気にしながら思い浮かべるのは、昨日の羽田の姿。


寒がりの奴が、どうしてお坊さんみたいに髪の毛短くしたんだろう…ってこと。



(あれじゃー反省文書かされた後の子供みたいだよ……)


学生時代の男子生徒と同じ。
先生にイタズラして、バリカンで頭刈られてた奴がいたっけ。



(今時あんな事したらモンペが黙ってないよね……)



あの頭にした理由は何だろう。
その話だけでも聞いてやれば良かったか。



(今更…だけどね……)



今日から私は芹那ちゃんの恋の応援団長なんだ。
もう羽田が声をかけてきても、逃げたり騒いだりしない。
平然とかわして、ただの同僚としてだけ接する。


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