あるワケないじゃん、そんな恋。
社員とパート。
その関係性をきちんと理解した上で、行動するだけだ。


(社員パートか……そう考えると、羽田も立派な上役だわ………)


御曹司や社長とかじゃないけどさ。


「はは……」


虚しくなって笑えてきちゃう。
あるワケないと思ってた上役への恋。
成立する前に自分から断ち切っちゃったよ。

笑われるのが怖くて話すらも聞かないうちに、年下の子の片思いを応援するって言っちゃった。



(バカ……私はホント、バカ……)




考えたてみたら、学生時代からこんな感じ。
憧れだと思ってた人を友達が好きになって相談されて、その子が自分よりも可愛かったりしたら直ぐに負けた…と思って応援するって言っちゃう。

その結果、両思いになれた友達から話を聞かされる羽目になって、後になって後悔するってパターンの繰り返し。


紅色のほっぺで恋を語る友達を見ながら、何度羨ましく思ったか分からない。
私の方が先に仲良くなってたのに、どうしてあんたなのよ……って、恨んでばかりいた。




『恨まない?』


芹那ちゃんの言葉にギクッとした。
咄嗟に否定したけど、きっとまた恨むよ。

今回は私も、初めて自分の気持ちに気づいたから。



「それももう……遅いけどね………」



いつまでもこうしてるワケにはいかないな……。

仕事行かないと、ホントにクビ切られちゃう。



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