あるワケないじゃん、そんな恋。
「キャンキャン!!」

「ごめん、ペソ……私、仕事なの……」


ボールで遊んで欲しい…って持ってきたところだったのにごめんね。
眠そうなあんたを起こしてまで愚痴に付き合わせたのに相手もしてやれなくて。


「慰めてくれてありがとう……。また今夜ね……」

「クゥゥゥン…」


頭撫でられて目を細めてる。
可愛いペソ。

あんただけよ。
私の味方は……。







こめかみ押さえて歩いてると、いかにも頭痛持ちみたいだよね。

駅前で栄養ドリンクは飲んだけど、そんなの気休めにしかならない。

ダラダラ仕事するワケにもいかない。


(…でも……体だるぅぅ……)


数メートル先の道路しか視界に入らない。
頭を上げたりしたら、その途端に目眩までしてきそう。


足まだフラついてそうだなぁ。
くっそぉ〜〜これだから二日酔いって嫌いなんだよぉ〜〜。



コツン……と小石蹴飛ばした。
転がってく小石の先に黒のスニーカーが見える。
あの赤い星の付いた靴、どっかで見たことあるような…………



(ゲッ……!!)



何気に上げた視線の先にいたのは羽田。

昨日の帰り、芹那ちゃんが待ち伏せしてた場所と同じところに立ってる。




(何よぉ〜〜……何なのよ〜〜……)




私が話も聞かずに逃げ回るから待ってるの?

そんなに言いたいことがあるワケ?


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