あるワケないじゃん、そんな恋。
「何よ……」



やっと菅野が聞く耳を持った。


やった!…待ってた甲斐あったぜ。



「あのさ、あの夜のことなんだけど……俺………お前のこと………」


笑って悪かったな……って、先ずはそう謝るつもりでいたけど……。



「…もういいよ別に。腹も立たなくなったから…」


「えっ……」


菅野の声に言葉失くした。

数メートル離れた場所にいるやつは、何だか顔がむくんでる。

明らかに飲み過ぎた時の顔だ。
しかもあの目元、二日酔いだな……。


「私もう怒ってないよ。羽田が笑うのも当然だと思うし…」


諦めてる…って顔してやがる。

笑ってるって言うより泣き顔に近いように見えるのは気のせいか?


「追いかけてきてまで謝らなくていいよ。言いたいことってそれだけなんでしょ?じゃあもう行くね…」


視線外して歩き始める。
俺のことなんて、まるでいてもいなくてもいいみたいな態度見せて。



「菅野っ…!待てよ…!」


取ろうとした手をサッと振り払われた。

二日酔いの割には素早い。
大したもんだ。


「…話すこと無いって言ってるでしょ!しつこくしないでっ!!」


あたた…!とこめかみ押さえてる。
大声出すと二日酔いの頭に響くらしい。



「飲んだのか?」

「えっ?ああ……ちょっとね……」


ちょっと…って顔かよ。
かなり痛そうじゃん、頭。


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