キミへ。 ~背中の『2』~
夏
背中の半分ぐらいまである髪を、高い位置で結んでいると、聞こえてくる音。
『カッキーン!!』
あ、この音好き。
『パァンッ!』
あ、この音の方が好き!
夕輝の音。
レギュラーが3年生だらけの中、夕輝は正捕手だ。
夕輝のグローブにボールが収まる音が、1番好き。
髪を結び終えて、部室を出る。
あたし、なんでこんな夕輝ばっかり見ちゃうんだろう。
幼なじみから特別な存在になったのは、いつだったんだろう。