【短編】ある一日【エムな娘】
私は繁華街のある店で働いている。いわゆるお水商売。でも、私はただの風俗店とは違った少し特殊な店……SMクラブと類されるところで働いていた。
「あれ、ヲトメ……。今日は早いあがりだね」
「昨日の人、意外と酷くなかったの。傷テープで治療済んじゃった」
「だから不満そうな顔してんだ。ヲトメちゃんてばいやらしーい」
「仕事だもん」
「半分趣味だけどねー」
私は職場から少し離れた店の寮で暮らしている。寮といってもただの古いアパートで、生活が逆転している私たちに文句を言ってこない環境が作られているだけだ。それでも、同じ職種──同じ趣味──の人間ばかりなのでとても住み心地が良かった。