愛しいあなたへ~song for you~
「そんな、褒められるようなもんじゃ…。
すっきりしないし、手応えとかないし。」
首を振ってそう言うと、
篤司君は、頷いて言った。
「そう、俺もそう思った。
曲の繋ぎがはっきりしないんだよ。
まだ、イメージが完成してないから、
所々で色んな曲調になってて、
せっかくいいメロディでも、
ガタガタになってるんだ。」
篤司君は話しながら、
鞄から、
五線紙ノートを取り出して、
鉛筆を走らせた。
そして、数秒も経たずに
書いたページを破って、
ピアノの上に置いた。
「とりあえず、これ弾いてみて。」
そう言って、
出された楽譜には、
確かに、
さっき私が弾いた曲、
丸々書いてあった。
すごい!
一瞬で覚えちゃったんだぁ!
…と、感心しながら、
すぐに弾いてみた。
確かに、
さっきよりは、
しっくりくるかな?
なんて、
考えながら、
最後まで弾くと、
篤司君は、嬉しそうに頷いた。
「いい感じじゃん。
これなら、イケるよ!」
篤司君は、
そう言ったけれど。
私は、首を傾げてしまった。