愛しいあなたへ~song for you~



…なんだろう?

何かが足りない気がする。





と、その時。





「…いつだって、君は側にいた…

当たり前のことで

忘れていたんだ…」



篤司君が、

さっき

弾いたばかりのメロディに合わせて、

そう口ずさんだ。





「あ…」




思わず、声を上げた。




わかった。

足りなかったものが。




そうだよ!



これなんだ。






「…やっぱさ。

俺も、手伝うよ。」






突然、篤司君が立ち上がって

そう言った。





信じられない。




私が無言で見ると、

篤司君は笑って言った。




「美由さんとなら、

すごくいい曲が出来そうな気がする。

…いや、絶対いい曲が出来る!」





自信に満ち溢れている声で

言った篤司君は、

夕日に照らされて一層に輝いて見えた。





私は、

ドキドキする胸を押さえながら、

無言で頷いた。








篤司君は、

私にとって、ヒーローだった。




優しくて、かっこよくて、

私を、助けてくれて。







この日から、

少しずつ、

貴方が好きになりました。





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