愛しいあなたへ~song for you~
「…あ~、悪いけどさ。」
言いにくそうに、西島君が言った。
「吉川さん、それは無理だよ。」
えっ!
西島君、もしかして、私の気持ち知って…。
西島君は笑顔でに言った。
「残念ながら、作詞担当は篤司。
君と篤司じゃあ、
作詞する人しかいなくなっちゃうよ。」
…はぁ。
私の気持ちがバレちゃったのかと思った。
そっか。
そうだよね。
そっちのことだよね。
吉川さんは、残念そうに
ため息をついて俯いてしまった。
「そう…なんだ。
それじゃあ、仕方ないよね。
ごめんね、変な事言って。大丈夫だから。
気にしないでね!!」
そして、
クラスから勢いよく飛び出して行ってしまった。
筑波さんは
そんな吉川さんを見て
お願いするように言った。
「ねぇ。
どうしてもダメなの?
例えばさ、作曲を篤司君がやってくれることに
代えてもらってとか。
お願い!!」
私は、正直迷ってしまっていた。
吉川さんは、私と似てて、
あんまり、自分の意見を言えないんだ。
今回、こんなお願いしに来たのだって、
必死の思いだったんだよ…。
すごく
すごく、わかる。
…でも、
私だって、傍に居たい。
高望みだってこと位、わかってる。
だから
少しでも長く、せめて、
…この曲が出来るまででもいいから。