愛しいあなたへ~song for you~
…でも
一番の理由は…。
指揮者と伴奏者なら、
もっと
もっと
一緒にいる時間が
増えるかもしれない。
一緒に居たい。
…指揮者になってくれないかな?
みんなが見つめていると、
篤司君は、スパッと言った。
「俺は、パス。」
えっ?!
一瞬、クラス中が凍りついた。
篤司君は、平然とした様子だった。
「指揮とか、むいてない。
俺は歌ってる方が好きだし。
そっちがいい。」
そんな…。
みんなガッカリした表情で。
私だって負けずに。
「はぁ…。」
そ、そうだよね。
指揮なんて、大変だものね。
…すごくガッカリ。
…ん?
でも、それじゃあ…。
誰がやってくれるんだろう。
教室は、シーンと、静まり返っていた。
ひょっとして、
誰もやってくれないんじゃ…。
その沈黙を破ったのは、
前にいた西島君だった。