愛しいあなたへ~song for you~
「…ふーん。
じゃあ、俺がやるからいいや。」
そっか…って、え?!
私は、驚いて西島君をみた。
あまり、自然に言うものだから、
聞き逃す所だった。
西島君は、
依然として明るい表情を変えず、
言った。
「それでは、
今回の合唱は、伴奏は美由ちゃん、
指揮は俺ということで、いいですか?」
誰も意見なんて言わない。
ただ、ぱちぱちと拍手した。
き、決まっちゃった。
「それじゃあ、
後は、適当にパート分けて、
練習を始めよう!」
西島君は明るい声でそう言った。
その後は、よく覚えていない。
あっと言う間に、
歌のパートが決まって、
各自の練習が始まっていた。
しばらくすると…。
「美由ちゃん、よろしくね!
指揮者が俺でごめんね。
本当は、篤司がよかっただろ?」
西島君は近くにきて、
私の顔を覗きながら、そう言った。
それに私は、慌てて首を振った。
「ああ!
ううん!
私は何ともないよ。
西島君こそ。大丈夫?
指揮って、難しいよね。」
…ショックで、
固まってたなんて言えない。
わざとらしい笑顔だったかな?
西島君は、近くの椅子に座って言った。