愛しいあなたへ~song for you~
「美由ちゃん!
篤司君いないけど、とりあえず、
伴奏だけでも、私達に聞かせてよ。」
クラスの女の子がそう言った。
ピアノ。
「…うん。」
ピアノを弾く?
こんな気持ちで
あの曲を弾くの?
問いかける心とは反対に、
体が勝手に
ピアノへと運ばれた。
ピアノの蓋を開けて、
白い鍵盤に指を乗せる。
大好きなピアノで弾く。
大好きな
…愛しい、
愛しいあなたと作った
この曲を。
放課後
遅くまで、
二人で残った音楽室で。
全部、
大好きだらけ
なのに。
…苦しい。