愛しいあなたへ~song for you~
私の弾いたピアノのせい?
もう一度鍵盤を見ると、
鍵盤にポタリと水が落ちてきた。
あぁ…。
そうだったんだ。
やけに
視界がぼやけて見えると思ったら。
私…泣いてたんだ。
嫌だな。
泣いてる所、みんなに見られてたんだ。
「…美由ちゃん、大丈夫?」
クラスの誰かにそう言われた。
「…ごめんね。
心配させちゃったね。
…私、頭冷やしてくるね。」
なるべく明るい声で、
そう言うのが、精一杯だった。
とにかく急いで、
音楽室を出ようと、
ドアまで駆け寄った時。
一番、見られたくなかった人。
篤司君がいた。