愛しいあなたへ~song for you~





その時だった。







音楽室から、

ピアノの音が

聞こえてきたのは。






悲しくて、

今にも消えそうな音。




最初は、

誰が弾いてるか、

わからなかった。




まさか、

美由が弾いてるなんて…。






いつもの

美由の音なら、




もっと輝いて

キラキラしてて、





楽しい気持ちが

伝わってくる



…そんな音のはずだ。








でも。






この曲は、


間違えるはずない。





あの曲だ。




俺と美由で作った

あの『メロディ』。







それが、わかった瞬間。



その場を走り出した。







「篤司?」





友香さんは、

すごく驚いていた。






でも、

居ても

立ってもいられない。






…どうしたんだよ。


何があったんだよ。






…何で、こんな絶望に溢れて、


弾いてるんだよ。








音楽室の扉を開くと、



そこには…。





みんなの前で

ピアノを弾いている

美由がいた。







< 60 / 130 >

この作品をシェア

pagetop