愛しいあなたへ~song for you~
「…篤司君?」
助けに来てくれたの…?
篤司君は、返事の代わりに
ギュッと抱きしめてくれた。
「…心配かけるなよ。馬鹿。」
本物だ。篤司君だ。
…温かい。
篤司君は、
私をそのまま抱き上げて、
階段の踊り場まで
連れて行ってくれた。
ふわっと、
肩に温かいものが掛かった。
その後ろから、
重みを感じた。
そして、
ゆっくりと腕が伸びて来て、
私を優しく包み込んだ。
身体が震えた。
私だけじゃない。
篤司君が震えていた。
「…よかった。
もう目、
覚まさないかと思った…。」
そう、耳元で呟いた篤司君の声は、
まるで泣いてるように震えてた。
「…篤司君?」
心配になって、
後ろをむこうとしたけど、
向かせてもらえなかった。
回された腕が一層強くなった。