愛しいあなたへ~song for you~



「…篤司君?」





助けに来てくれたの…?






篤司君は、返事の代わりに

ギュッと抱きしめてくれた。









「…心配かけるなよ。馬鹿。」







本物だ。篤司君だ。



…温かい。








篤司君は、

私をそのまま抱き上げて、

階段の踊り場まで

連れて行ってくれた。








ふわっと、

肩に温かいものが掛かった。






その後ろから、

重みを感じた。






そして、

ゆっくりと腕が伸びて来て、

私を優しく包み込んだ。








身体が震えた。



私だけじゃない。




篤司君が震えていた。




「…よかった。


もう目、

覚まさないかと思った…。」








そう、耳元で呟いた篤司君の声は、

まるで泣いてるように震えてた。






「…篤司君?」





心配になって、

後ろをむこうとしたけど、

向かせてもらえなかった。






回された腕が一層強くなった。





< 74 / 130 >

この作品をシェア

pagetop