愛しいあなたへ~song for you~
「…ごめんね。篤司君。
もう、平気だよ。」
そう言って、
篤司君の手を握ると、
ビクッと震えた。
揺らいでる気持ちを抑えて、
言った。
「ありがとう。
篤司君が来てくれて、
ホントに助かったよ。
もう大丈夫だから。
…離していいよ。」
腕を、そっと解いた。
そして、少し離れて、
篤司君の方を向いた。
暗くてよく見えないけど
篤司君は、そこにいた。
これ以上、
私の私情で
篤司君を困らせたくない。
だから、必死に笑顔を作った。
「本当にごめんね。
屋上に閉じ込められちゃうなんて、
私ったら、馬鹿だよね。
自分の鈍臭さには、笑っちゃうよ。」
目が慣れて来て、
篤司君の顔が見えてきて。
ドキッとした。
目を細めて、じっと見てる。
疑われてる。
見抜かれてる。
本当の気持ちがバレちゃう。