嘘と秘密~悲しいラヴァーズ~
でも―。


やめられない。


私だって恭也くんが好き。


乃愛に負けないくらい好き。


「もう遅いよ…」


呟いた言葉は春山くんに届いたかは分からない。


しーんとひとりだったときの静けさが戻ってきた。


何か気まずい…。


春山くんは肩にタオルをかけ直した。


会話のない気まずさに耐えられなくなり。


それにもうふたりを見たくない。


「じゃ、私戻るね」


ちゃんと顔を見ながら言えた。


春山くんの横を通り過ぎようとしたとき。


大きな手に腕を捕まえられた。


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