嘘と秘密~悲しいラヴァーズ~
私は何も考えてなかった。


乃愛と恭也くんが消えていった部屋へ入ろうとすると、中から声が聞こえてきた。


入るのをやめ、耳を澄ます。


「あっ…恭也、ダメだってぇ…。風邪、うつるよ…」


「なら、俺にうつしなよ。乃愛、治るからさ」


「…恭也が風邪引いちゃったら、会えなくなっちゃう…ってちょっと…!!」


乃愛の声が途切れた思うと、リップ音が聞こえた。


まさか…。


そう思い、息を殺し部屋のドアへと近づく。


そっと隙間から覗くと…。


恭也くんが乃愛の上に馬乗りになってキスをしていた。


さっき、私にキスした唇で乃愛の唇にキスをしている。


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