嘘と秘密~悲しいラヴァーズ~
「くるみちゃん」


突然。


ほんとに突然。


完璧に油断していた。


考え事をしていた私の目の前には愛しい人。


「…きょ、恭也くん…」


にっこりと微笑む彼がいた。


私は急いで笑顔を作る。


油断していると表情だけ置いていかれる。


「乃愛は教室にいる?」


「うん。恭也くんのこと待ってるよ」


「そっか。じゃあ、早く行かなくちゃね」


私は頷く。


建て前だけの会話。


建て前だけの笑顔。


建て前だけの…。



何してるの、私…。





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