嘘と秘密~悲しいラヴァーズ~
この場を絶対に見られてはいけない女、乃愛だったから。


乃愛は制服のままで。


かわいいピンクのチェックのマフラーに白いリボンのついた手袋をして。


いつも持っているパステルカラーのリュックを担いで。


仁王立ちして私たちを睨んでいた。


「ずいぶんと仲いいのね。で、何してるの?」


頭が真っ白になった。


乃愛は私と恭也くんを交互に見ながら言う。


私は俯いた。


「…じゃあさ質問を変えよっか。まずくるみね。今日の放課後は図書館で勉強する予定じゃなかったの?」


顔を上げると乃愛と目が合った。


「…図書館行ったよ」


そこで言葉に詰まる。


上手い言い訳なんてない。


というか言えない。


言ったとしてもすぐにバレる。


何て言えば…。


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