嘘と秘密~悲しいラヴァーズ~
「ありがとう」


そう言って、恭也くんは私の横を通り過ぎようとした。


本当は行かないでって言いたい。


でも言わない。


いや言うことはできない。




「7時に駅前のジェラートのお店で」




恭也くんは私の耳元で呟くように言った。


その言葉に私は軽く頷く。


それを満足そうに笑いながら見て、恭也くんは教室の方に歩いていった。


日誌をギューと握りしめた。


私、今絶対に顔が赤い…。


不意打ちはずるいよ。


恭也くんはずるい。


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