嘘と秘密~悲しいラヴァーズ~
「あ、もう一個バケツあるよー」


「え、やっちゃう?」


「やってあげなよ!!水かけてあげたら泣いてもバレないしー」


ガラッ。


うるさかった室内がいつものように静かになる。


入ってきたのは乃愛だった。


乃愛はびしょ濡れの私とバケツを持つクラスメイトを見て目を丸くしている。


「あ、乃愛ぁー。おはよー」


「…何してるの?」


「え。何してるのって見れば分かるじゃん。水、かけたの」


一瞬、乃愛の瞳が悲しそうに揺らいだ。


「そう」


乃愛はそう呟くと足早に自分の席へと行ってしまった。


何で、そんな顔するの…。


こっちが苦しくなるじゃん…。


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