嘘と秘密~悲しいラヴァーズ~
ビショビショの美羽と私を見て目を丸くする海斗。


私はすぐに俯いた。


「おはよう」


美羽は海斗を一瞥しただけでそのまま進もうとした。


「…ちょっと待って!!」


美羽はすぐに止まった。


髪の滴が垂れ落ちる。


「何?急いでるんだけど」


真顔は今日も健在だ。


「どうしたんだよ?」


「何が?」


「何ってその格好」


「これ?女は怖いって話」


「…は?」


「察しろよ、そこは」


「…俺、頭よくないから」


「…たぶん春山くんのせいじゃないから。…だよね、くるみ」


美羽が私に聞いてくる。


それにコクリと頷く。


< 154 / 186 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop