嘘と秘密~悲しいラヴァーズ~
「乃愛。そろそろ離れなよ」


美羽に言われ、乃愛は私から離れた。


「何で春山くんが?」


美羽が私が思ったことを乃愛に素直にぶつける。


乃愛はハンカチに目を当てながら答える。


「…何か教えてくれたよ…。…じゃなくて…!!」


「何よ?」


急に声を上げた乃愛を美羽は怪訝そうに見る。


「春山くん、恭也を殴ったの」


「…え?」


思わず声を上げてしまう。


「教室で…。何か突然。…恭也は全く殴り返さなくて大事にはならなくて…。指導部とかも気付いてないみたいだけど…」


…海斗が恭也くんを…?


「…へぇ…。やるじゃん、春山海斗」


美羽がボソッと呟いた。


「え、何?」


乃愛には聞こえなかったみたい。


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