嘘と秘密~悲しいラヴァーズ~
自然と背筋が緊張したようにピンとなる。


春山くんの顔を見るのが怖い。


クラスであんまり話したことがないのに何でこんなときに…。


「…是永、部活…長引いたの?」


言葉を選ぶように聞いてくる。


聞きたいことはたぶん違うこと。


遠回りをして近付こうとしている。


「…長引くわけないよ。…私、茶道部だから…」


「…あ、そうだったよな…」


「春山くんは?部活?」


春山くんが言い終わらないうちに訊く。


とてつもなく居心地が悪い。


「…俺も違う…」


この空気、嫌い。


ダメだ…。


肝心なことを聞かせないようにしているのに。


…早く電車来てよ…。



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