嘘と秘密~悲しいラヴァーズ~
分かるよ、言いたいこと。


でも本当だったらとんでもないことが発覚したことになるもんね。


「是永が芹沢と居るところを見たんだけど。…間違ってたらごめん」


スゥーッと。


隣のホームに電車が入ってきた。


微風だけど、横髪が顔にかかる。


うっとうしいな、もう。


…予感が現実になった。


あの映画館にいた同じ高校の制服を着た子は春山くんだったんだ。


春山くんは少し気まずそうにする。


分かっていたけど、私の頭は真っ白になってしまった。


何も考えられない。


上手い嘘なんて思い付くはずがなく。


それ以前に私が上手く嘘をつけない。


逃げ場なんてない…。


< 48 / 186 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop