嘘と秘密~悲しいラヴァーズ~
聞かれたのに答えられない。


言わなくちゃいけないのに、口は動きそうにもない。


言ったところでどうなる…?


バレるだけ…だよね?


考え込んでると、春山くんが口を開いた。


「まさか…付き合ってるってこと…?」


隣のホームの電車が出発した。


微風が私の顔を撫でる。


…すごくうっとうしい。


春山くんは疑わしそうに聞いてくる。


…分かっちゃった…か。


嘘ついたって意味ない。


その質問にコクリと頷く。


…私、今、どんな表情でいるんだろう。


すると春山くんは目を見開いた。


…自分で言ったのに…。


…まさかそんなことはないと思っていたんだろうな。
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