嘘と秘密~悲しいラヴァーズ~
「…嘘だろ…?…え…?だってアイツには…」


「…私じゃない彼女がいる…」


「分かっているなら何で!?」


春山くんの声が今までの倍になった。


そのことに少しだけ体がピクッとなる。


「…何でって…あ…」


言いかけたときに。


プシューッと。


電車が来た。


夜だから朝より少ない車両。


心なしか身軽に見える。


…今の空気とは正反対。


どんよりとした私の周りの空気も一緒にどこかへ運んでくれればいいのに。


「…このこと、誰にも言わないで…。ごめんね。電車来たから帰るね。また明日」


私は早口で言うと、逃げるように電車に乗り込む。


ホームには立ち尽くす春山くんだけが残っていた。


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