嘘と秘密~悲しいラヴァーズ~
答えようとしたとき他の声が飛んできた。


「海斗ー?教室行かないのー?」


可愛らしい声が聞こえる。


春山くんの少し後ろに女の子と男の子がこちらを見ながら立っていた。


鎖骨あたりで切り揃えられた毛先が少しくるんとなっていて可愛い子だなと思った。


…乃愛とかには敵わないかも…だけど。


男の子の方は綺麗な顔立ちをしていて、逆に恐ろしい。


「あ。今行く!…是永、今日の昼休み、第二講義室に来てくれない?」


「…いいけど…」


「じゃあ」


そう言うと、春山くんは二人の元に戻っていった。


…何の話だろ…?


クラス同じなんだから教室で話せばいいのに。


…私も教室に行かなくちゃ…。


目の前の階段を上らずにそのまま左へと曲がる。


また足が重くなり始めた。


はぁ…。


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