嘘と秘密~悲しいラヴァーズ~
何時かなと思ってポケットからスマホを出す。


キーホルダーのウサギが揺れる。


そのウサギと目が合う。


ウサギの瞳が『大丈夫なの?』って揺れている気がした。


それに『大丈夫だよ』って答えながら、スマホの電源をつける。


…18時35分…。


もうそろかな…。


もう少しで来てくれるはず…。


確信がもてないのが辛い。


目の前を帰宅するサラリーマンとか学生の大群が流れていく。


忙しそうに。


帰るだけなのに、何を急ぐのかな?


それに明日、土曜日なんだけどなー。


休みなはずなのに…。



「お待たせっ!」



ざわつく構内の裏。


人気のない場所。


彼はちゃんとやって来てくれた。


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