嘘と秘密~悲しいラヴァーズ~
振り向くと、そこには恭也くんの笑顔。


あ、来てくれたんだ…。


よかったぁ…。


来てくれないかと少し思っていたことを後悔した。


自然と頬が緩む。


「待った?」


「ううん。全然」


「ごめんねー。暇じゃなかった?」


恭也くんが心配そうに顔を覗いてくる。


「大丈夫。月、見てたから」


「月?」


「うん」


話しながらそのまま歩き出す。


「月、好きなの?」


頷くと、恭也くんは柔らかく笑った。


その笑顔に胸が高鳴る。


落ち込んだ気持ちが嘘みたいに躍る。


沈んでいたものがプカーと浮いていく。


ふわふわと。


どこまででも飛んでいきそう。



< 74 / 186 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop