嘘と秘密~悲しいラヴァーズ~
突然だった。


脈絡もなく乃愛がそう言った。


私は一瞬で固まった。


…何で…。


どうして…。


ひとり冷静な美羽が乃愛に訊く。


「何で?」


乃愛はポツリポツリと話し始める。


「…一昨日くらいかな…。恭也の部屋に行ったときに、映画の半券が机に挟んであって。乃愛と観た映画かなーって思って見たら行ったことない映画で。しかも乃愛とデートした日の夜に行ったみたいで…。もう、何かよく分かんないよ…」


乃愛が俯いた。


…完ぺきに私と行ったやつだよね…?


あの日は乃愛と別れたあと、恭也くんと出掛けたし…。


…ここから逃げ出したい…。


どこかへ行きたい。


私は動揺をごまかすようにお茶を飲んだ。


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