嘘と秘密~悲しいラヴァーズ~
春山くんは意地悪く笑う。


いつもの笑顔にいつものように八重歯が覗く。


私は俯いた。


「そんな落ち込むなって。ちゃんと欲しいなら奪えばいいじゃん」


奪う…?


「へ?」


「杉本から」


私は顔を上げた。


「え、無理だよ」


「何で?」


「私が乃愛に敵うわけがない。隣に居るだけでも気が引けるのに」


「すごい自分を過小評価してるな」


春山くんが苦笑いした。


「当たり前ですー。高校入った瞬間、かわいい子が増えて、私、ふたつに分けたらブスの部類に入るんじゃないかって」


< 99 / 186 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop