それいけヒーロー部


高校からだいぶ離れて駅が近づいてきたところでもう大丈夫だろうと海先輩とは別れ、引いて歩いていた自転車にまたがる。




なんでもこれからバイトがあるんだそうだ。



駅近くのハンバーガー屋でバイトをしている海先輩だが、あの見た目で採用されてるってすごいなと思う。



背もちっさいし、完全に中学生だもん。






しかし、本当にこれから先、女の子に敵意を向けられることがあるんだろうか。


それはちょっと嫌だなあと思う。




だって女の子可愛いし、敵意よりは笑顔を向けてほしいです。




海先輩の教えであるが、男には正義を女の子には愛をという信念のもとにあたしは生きてきた。



完全に男目線じゃねえかということに気づいたのは海先輩が中学を卒業して、周りの不良にあんまりケンカを売られなくなってからだ。





まぁそんなこんなで、女の子には優しくしたいのだ。



なのに敵意なんか向けられた日にはどう動いていいか分からないぜ。




まぁ、先輩たちの言うことが正しければマリリンと一緒に行動していれば絡まれることもないんだろうけど。







「あれっ、すっげー久しぶり!
おっす!元気してた?」





信号に足止めを食らって、ぼーっと考えごとをしていると、唐突に知らない茶髪の男の人にめちゃめちゃ馴れ馴れしく声をかけられた。





「…こんにちは?」



「あれ、オレんこと覚えてない?」



「え、あれ、すいません、ちょっと覚えが…」




え、うそ、知り合いかな?


あたし人の顔覚えるのは結構得意なんだけど、全然見覚えがないよ!




誰だこの茶髪!




< 116 / 344 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop