それいけヒーロー部

スパイダーをかぶって現場に到着すると、すでにカエルとクマが戦っていた。

言葉にするとかなりファンシーだな。




カエルが銀次郎で名前はハッピー、クマが陣野くんで名前はざらめだ。


ハッピーターンとザラメせんべいが好きなんだそうだ。

せんべい好きとして外せない二品である。




覆面は対生徒会の時に新しいものを増やしたため、各々好きなものを被っている。


相手は連絡通り6人。

ネクタイの色から2年生であることがわかる。





「カシュー、遅いよ。」


「そんなこと言われても。」



クマの後ろから攻撃を仕掛けようとしていた一人を後ろから仕留め、その場に沈ませる。


それによってその場のみんながあたしの到着に気付いたようだ。




「また覆面かよ。」


「しかも女とか、なめてんのかよ。」




相手の2年生グループはあたしの格好を見てそんなことを言っている。




「なめられてると思うならそれで別にいいです。

ハッピー、状況を簡単に教えて。」




「オッケー!

この6人が後ろにいる一年生を囲んで暴行。さらにその中の2人は喫煙。

タバコの火を押し付けようとしているところでちょうどオレらが発見しましたー!」




「それは言い逃れできないね。話し合いは?」


「決裂!」




後ろを見ると確かに銀次郎が言った1年生が震えながらしゃがみこんでいる。


顔は見たことがあるけど名前は知らない生徒だ。


どこで顔を見たのかは忘れてしまったが、どうせ廊下ですれ違った程度だろう。



特筆することもない平凡な顔に黒髪、しゃがんでいるため正確にはわからないが身長はあたしと同じくらいかもう少し大きいくらいだろう。



第一ボタンまで絞められたシャツ、きちんと絞められていたであろうネクタイはただ首にかかっているだけになっている。


ところどころ汚れた制服に若干赤く腫れ始めている頬。



かわいそうに、なんだってこんな2年生の集団に襲われるようなことになってしまったんだろうか。





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