それいけヒーロー部


「なにグダグダ言ってんだよ。女が一人増えたところで今の状況は変わんねぇよ。」



「へっ 噂の覆面集団をぼこぼこにできたら、オレたち一躍ヒーローじゃね?」



「それもそうだ。先輩たちもこいつらに散々やられてイラついてたしな。」



「ぼこぼこにしたらよ、先輩たちも呼ぼうぜ。」



「いいなそれ。よし、決まりだ。」




あたしが被害者の観察をしていたわきで、そんな物騒な会話がなされていた。


この人たちの先輩は一度あたしたちにやられてるのか。


それなのに立ち向かってくるというのは、ただの馬鹿なんだろうか。




「やっちまおう。」



相手の一人がそうつぶやいたとたん、6人が動き出した。


最初にあたしが沈めた人もいつの間にか復活していたようだ。

背中痛そうだけど。





「怖かったら、後ろを向いて目をつぶって、耳をふさいでいた方がいいよ。」



被害者の生徒にそんな一言をかけると、一瞬驚いたような表情になった後、小さくうなずいた。


普段暴力に慣れていない人にとって、人が人を殴ったり殴られたりという光景は精神的にあまりにヘビーだ。





向かってくる相手の攻撃をよけながら、確実に仕留められる隙を伺う。



この人たち、喧嘩慣れはしているんだろうけど動きに無駄が多い。


この学校はそもそも喧嘩を積極的にする人が少ないし、学校の周りも治安が悪いわけではないから生ぬるい喧嘩しかしてこなかったんだろう。





「そんな大振りでいいんですか?」



だいぶ大振りな右ストレートをいなしながら一歩踏み込む。


がら空きのボディへ肘を突き刺す。

骨が折れては困るので力の加減はするが、それでもだいぶ痛いはずだ。







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