それいけヒーロー部
入った先に華道部の部室なんてありませんでした。
あったのは、畳にちゃぶ台、ポットとお茶、それから大量にせんべいが入っている籠。
周りの壁にはヒーロー戦隊もののポスターとかお面とか。
そして部屋の隅には、馬、大仏、ツタンカーメン。
「…お邪魔しました。」
とりあえず回れ右したい。
「ダメー。くるみちゃんはこれから俺たちと作戦会議するので帰れません。」
いやだって、ねぇ?
明らかにおかしい集団にこれ以上関わりたくないです、切実に。
「一回座ってお話だけでも聞いてって欲しいなあ。ダメ?」
いつの間に目の前に移動したのか、さっきちゃぶ台のところで座っていた先輩が、顔を覗き込みながら聞いてくる。
なんだっけこの人。
確か2年で有名な不良さん。
名前は確か…
「葛西、先輩…でしたっけ?」
色抜きすぎてもうほとんど白に近い金髪は短く爽やかに切られている。
綺麗な二重ときれいな鼻筋、少し堀が深い顔なせいもあってちょっとヨーロッパな雰囲気のお顔。
そしてマリリンほどではないが背がデカい。
マリリンが関わらない方がいいよって言っていたうちの一人。
ケンカをすれば勝てる人はいないとか、学校外に悪いお友だちがたくさんいるとか、盗んだバイクで走り出してるとか変な噂が絶えない先輩だ。
「あれ?オレの事知ってるの?嬉しいなあ。」