それいけヒーロー部
無事首を解放してもらって一安心。
首は人間の急所の一つと言えるだろう。
そんな大事なところを魔王につかまれているというのは、下手したら命に関わるからな。
「牧村、お前いつの間に風紀委員長と仲良くなってんだよ。」
「昨日ちょっと。」
かっちゃん先輩に話しかけられ、笑いながら答えると委員長がちょっとこっちを見た。
昨日のことは言うなということなのだろうか。
せっかくこっちを見たのだからと笑顔を送ると、またそっぽ向かれた。
もう慣れたやい。
「かっちゃん先輩、なんだか男前度が上がっていますね?どうしたんですか、それ。」
知ってますけど、この流れじゃないと向こうの先輩に視線を送れないんだよ。
「あ?そこのやつに殴られたんだよ。ひどいよなーオレは悪いこと一個もしてないってのに。」
「はぁ?!しただろうが!オレのこと殴った!!」
そこで急に大きな声を出したのはかっちゃん先輩に濡れ衣を着せた先輩。
こいつ、よくもまぁ自分がしたことを棚に上げて人のこと言えるな。
よく見ろと魔王に言われたため、じっくりその腫れあがった顔を観察する。
真面目そうということくらいで、どこにでもいそうな顔だ。
今までの記憶を引っ張り出す。
基本的に話したりした人の顔くらいは覚えているものだ。
引きつったということは何か知られては都合の悪いところをあたしに見られたり、聞かれたりしたのだろう。
あたしの顔を知っているということは、ヒーロー部で活動する前の可能性が高い。
今はもう覆面をかぶっていることがほとんどだからな。
学校以外でも考えられる。
なんてったってこの人の罪状が万引きなんだから。
「あ。」
思い出した。この人、
「万引きしようとしてあたしに注意された人だ。」