それいけヒーロー部

「く、るみ、ちゃん、それはやっちゃダメな技じゃ、ない、かな…」



資料室の床でうずくまっている副会長には申し訳ないが、これは正当防衛なので黙っててもらいたい。

だって身の危険を感じたんだ。




「こ、今回はあたし、悪くないっすからね!
副会長が全面的に悪い!あたし悪くない!」




どんどん上昇する体温を止めることができない。

顔が熱をもっていくのわかる。
資料室が暗くてよかった。

きっと副会長にこの変化はみられることはない。




「え、くるみちゃん、照れて…」



「ない!!断じて違う!」



「もしかして、初めてだったり…」



「しない!」




全力で嘘をつきました。

えぇえぇ。初めてですよ。
察してくださいよ。



今まで中学では海先輩と喧嘩三昧、高校ではマリリンと仲良しこよしをしてきたあたしにそんな浮かれたピンク色の話なんてなかったんですよ。





「ふざけんな副会長のあほ!変態!バカ!」


「…どうしようくるみちゃんが可愛くて仕方ないんだけど。」



「…日本語が通じないだと…そこで一生うずくまってろバーカ!」




もう副会長と話しているのが嫌になって資料室からの脱出を試みる。




「オレ本気で好きだからね!」





最後の最後までメンタルクラッシュしてくる副会長にもう一発物理的クラッシュを食らわせたくなったけど、これ以上同じ空気を吸っていると変態が移りそうだから迅速に脱出した。



だから資料室に残された副会長がガッツポーズしてたなんてあたしは知らない。





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