それいけヒーロー部
海先輩の魔の手から救い出してくれたのはマリリンだけど、最初はマリリンから逃げようと思っていたわけで、つまりは結局なんの意味もなかったってことだ。
振り出しに戻っただけだ。
「なに腹黒にいいようにされてるわけ。」
「だ、だって、そんなことするなんて思ってなかったから…」
「油断したの?」
「しました。ごめんなさい。」
「…何のために俺が今まで耐えてたと思ってんのさ。」
「…と言いますと?」
「だから、何のために、俺が、今まで、お前に、手を出さずに、我慢してたと思ってんのかって、聞いてんの。」
一言一言区切りながら、更にはあたしのおでこをつつきながら、そんなことを宣ったマリリン。
どうしよう、一言ずつ区切っても意味が分からないことに変わりないぞ。
「マリリン、ごめん、よくわからない…」
マリリンに凄く深いため息をつかせてしまった。
「お前らって通常運行があんだけいちゃついてるのに、肝心なところがちゃんとつながってねぇんだな。」
海先輩はマリリンが言う意味が分かっているらしく、にやにやと楽しそうだ。
「海先輩、どういうことよ。」
もはやすがる思いで海先輩に聞く。
だってマリリンの顔がなんか怖いんだもの。
「だから、江橋は、」
「海先輩、俺が自分で言います。」
海先輩の言葉を途中で遮ってマリリンがあたしの顎を捕まえた。
…え、今顎掴む必要あります?
「くるみ、俺、お前のこと好きだから。」
そのまま唇に噛みつかれた。